離婚を切り出され

国際結婚と離婚

 私は歩くことが好きだ。
何かを考えたい時、もう考えたくない時外に出る。

 私が暮らす町は歩くのに適している。
今はgo to効果で人がわんさかいるけれど、少し脇に入ったら
誰もいないホッとする光景に出会うことがある。


 ある時、突然離婚を切り出された。
もう彼が私を好きではないことは随分前から気づいていた気がする。
それに気づかないふりをしてフランスまでついてきた。

 結婚生活は、一方が「無理」だとタオルを投げたら、もう一方はそれを受け取るしか
ないと思う。彼のことは大好きだったけど、もうあきらめるしかない。
妥協して我慢して結婚生活が続かないと思った。

 突然の宣言に私はパニックになった。
「君と一緒だと幸せになれない」ガイジンはストレートだなあ、おいっ!
決定打だった。

私は彼に幸せになってほしかった。
きれいごとに思われるかもしれないが、本当だ。
ああ、幸せになれないなら、しょうがないなあ。
遠のく意識の中、そんな風に考えていた気がする。

 当時、彼と元義弟と私の3人で暮らしていた。
実家は9000キロ離れた場所にある。友達にはまだ言えていない。
逃げ場がない。
息が詰まる。地獄だ。

 毎朝、彼と元義弟が仕事に行くまで街をさまよった。
考えなんかまとまらない。
覚悟するための時間だった。
街はきれいだった。写真いっぱいとったのに、スマホも置いてきちゃった。