なるべく小さな幸せと、なるべく小さな不幸せ

わたし

わたしは結構面倒くさい人間で

ぐちゃぐちゃ考えて、落ち込むことがよくある。

そして、わたしは結構ちょろい人間で

部屋からえいやっと外に出て歩くだけで

気持ちが晴れることが多い。

草木を眺めるのが、好きだ。

鳥を見るのが、好きだ。

青空を見るのも、好きだ。

猫なんか見かけたら、最高だ。

目的なく歩くなんてことしたことなかった。

いや、目的があっても車を使い足を使うなんて皆無だった。

でも今や、「歩く」は私の安上がりで健康的なリフレッシュ法。

元義母の影響だと思う。

私は彼女とよく歩いた。

一緒に暮らしていたころ

「皆、散歩に行くわよ!」と

よく誘われた。

家族で、ついていく者は私くらいだった。

彼女は、私を癒してくれる人だったので

散歩したいというより、彼女と過ごしたかった。

歩きながら、色んな草木の名前を教えてもらった。

素敵な家があると、じっと眺めたり。

こんな門もいいわね、とか言いながら。

彼女とぽつりぽつりと話ながら、私は淋しさを

少し紛らわせていた。

ふってわいた離婚話の時は、彼女の家に逃げ込んだ。

彼女の前でさんざん泣き、怒り、だんだん前を向けるようになり、

プチ旅行に行き、おいしい物を食べて、飲んで、

そして彼女とも離れなければいけないんだ。

と切なくなった。

私が旅立ちの準備ができるまで、彼女はそばにいてくれた。

そして、日本に帰ってきた。

私が今一番会いたい人は彼女かもしれない。