元義理の弟のことを書こう
とても心が温かい人だった
いわゆる「みぞおちあたりに、炎を灯している人」だ
(過去ブログ参照されたし)
太極拳を長年やっていて、そのせいだろうか
身のこなしが忍者みたいな感じだった。
サッ、ササッみたいな。
細いけど、大食漢。
体が冷えることを嫌悪し、夏でも冷たい物は一切口にしなかった。
日本語を学ぶ大学に通っていたので少し話せた。
(すぐ中退したので、少しだけ)
何かを”買う”という行為をしない。
お金はほぼ使わない。
髪の毛が腰くらいまである。
ひげも長い。
(察するに、切るのが面倒くさいから伸びただけ)
とてもシャイ。
私は、元夫より弟である彼の方が、顔性格が好みだった。
優しいし、イケメンだし、そりゃ世の女子はほっとかない。
でも、現在30代も後半。
結婚はおろか女っけゼロ
世の女子ほっときまくり。
なぜって、彼は仙人みたいな人だからが答え。
私が知る限り、大学を中退してから働いていた期間はトータル
3年満たないくらいだ。
(よっぽどフランス時代の私のほうが働いてる。。。)
どうやって生活している?
きちんと暮らしていたよ。ストレスフリーに。
日本でいう生活保護みたいなものをもらい
実家で母親と暮らしている。
生活保護はこの辺に関してはフランスが寛容なのか、
はたまた彼がうまいことやっているのか不明だったけど、
心身共に健康なのに、毎月彼にとって十分なお金を
国からもらっている。
彼が、お金を使うことは、クリスマスに家族に
プレゼントを買うくらい。マジで使わない。
携帯も、車も持っていない。
アルコールも摂取しない。たばこも葉っぱもやらない。
身に着けるものは、全て誰かからもらったもの。
私も使わなくなったサングラスやらリュックやらをあげた。
死ぬほど喜んでくれた。あげがいがある。
家にずっと篭っているというわけではなく、
週に何度か太極拳のクラスに行く。
他県に研修に行ったりもしていた。
思い出した!
その時も、宿泊代を浮かせるため、人様の庭にテントを張って
研修会場まで毎日通っていたらしい。
そこまでして頑張っていたお陰で、腕前は準師範。
師範が不在の時は代わりに後輩を指導する。
あとは、庭を掘り起こして作った畑で、
土ばっかりいじってる。
全くの独学でゴロゴロと完全有機野菜を作ってた。
ご隠居みたい。
そりゃ、もてないよね。
とにかく浮世離れしているが、彼の世界で彼は幸せに暮らしている。
世の中を憂い、資本主義社会を憎んでいた。
薄汚れた世界から距離を取り、彼だけの
楽園で生きることにしたんだろう。
彼を観察することおよそ15年。
彼が誰かと家庭を築くことはできないなと
結構早い段階で思っていた。
多分、あの家で母親を看取り、
それからは一人で晴耕雨読の生活を続けていくのだろう。
私は、彼のことを好ましく思っていたし、何より家族だった。
だから、彼には彼の満足するやり方で幸福に生きていってほしいし、
実は彼のような生き方を眩しく見ている。
「幸せは、何を持っているかではないよ」
たまに、彼の照れたように笑う顔が浮かぶとき、
それを思い出させてくれる。