2年後に会社を辞めようと思っている。
今の部屋は、会社が家賃のほとんどを払ってくれている。
この街を離れて、地元に戻ろうと思うが
実家では暮らしたくない。
そこには母がひとりで暮らしている。
母と私の関係はそこそこ良いとは思う。
月に2回くらいは長電話するし、
つい最近もふたりで旅行に行った。
しかし、暮らすとなると別で、母と暮らすとイライラ
してしまう。なんでもかんでも癪にさわる。
母は全然悪くないのに、毎日八つ当たりをされて
かわいそうだ。
私が八つ当たりするんだけど。
私は人間が未熟なので、そのイラつきを抑えることができない。
思えば、結婚していた時、元夫にも自分のペースを乱される
ようなことをされると、暴言を吐いたりしていた。
なんて妻!
結局、無実の人に嫌な思いを四六時中させてしまう
ことになるので、私は誰かとは暮らせないと確信している。
どうなのでしょう、これって。
まあ、幸い?一緒に暮らしたいと思う殿方もいないので
心安らかに一人暮らしをしている。
が、会社を辞めたら実家で暮らす説が濃厚ではないのか。
首尾よく仕事も住処も決まってからの円満退社
って難易度高くないか?
と思っているが、華麗に障害物をかわし奇跡的に、
仕事と住処がナイスなタイミングで決まるやもしれない
という妄想を捨てきれない自分もバリバリいる。
住みたい場所は既に決まっているのだ。
夜な夜な物件検索。
高いなあ。
会社が家賃を払ってくれている今は
なんて恵まれているんだろう。
人間関係が嫌すぎて、辞める決意をしたのだが、
住みたいと思う部屋は、絶対家賃払いきれない問題が
あっさり浮上し、その決意がグラングラン揺らぐ。
弱者。
私はこの会社を離れれば弱者なのだ。
会社の文句をいいながらも、その傘に守られている
ことを痛感する。
そして、母はやっぱりすごい。
高卒で何の資格も技能も持たない母は、
私たち姉妹が小学生の時に離婚した。
それから、私たちは3人で暮らしている。
ひもじい思いをしたことは一度もない。
それこそ、3人が住める家を借りて、
仕事して、家事をして、子供を育てて
どんなスーパーウーマンだよ。
私は独り身で、ワンルームを借りることにも
弱腰になっている。
母と比べても意味がないって思うが、
今の私よりもいくつも年下だった母が
誰にも頼らず「家」を作っていたことに
呆然となる。
すごいなあ。
私は他人に甘える専門家なので、だから、
今でもつい母に甘えてしまうのだと思う。
母は勿論老いていて、昔の母とは違う。
昔は24時間鎧をつけていたんだと思う。
今は、鎧も脱いでぼーっとしている。
それでよいし、そうでなければいけない。
なのに、私ときたら、戦っていた頃の母を
いつまでも求めてしまっている。
あの頃のきれっきれの母に甘えたいんだ。
賃貸物件を検索しながら、そんな事を思う夜。